ライコネンのクラッシュに思う(ヨーロッパGP)

「最後まで目が離せないスリリングな展開、最終ラップの大逆転。」
ということかもしれないが、最終ラップのライコネンのクラッシュは、
僕としては非常にショッキングな映像だった。
と言うか、数周前からすでに右フロントが異常に振動しているのが、
車載カメラからの映像で見え、その段階で僕はハラハラしていた。

幸いにして、ケブラーワイヤーのおかげで、
タイヤがどこかに飛び込むことは無かった。
しかし、サスペンションが壊れた次の瞬間、破片が飛び散り、
その一部がライコネンのヘルメットを直撃していたのは、
テレビをご覧の皆さんにもはっきり見えたはず。
そして、コントロールを失ったマクラーレンが、
前方を走るバトンを恐ろしい勢いでかすめっていった。
接触を免れたのは、本当に偶然だ。
あれが、スパのオー・ルージュだったらどうだっただろう?
考えただけで、恐ろしい。

もちろん、F1が魅力的なのは、ギリギリのところで闘うからだ。
しかし、今回の件はレーシングアクシデントではなく、
レギュレーション変更がもたらした技術的なアクシデントで、
レースやバトル以前の問題だと思う。
おそらく、去年までのレギュレーションであれば、
給油と同時にタイヤ交換をするため、アクシデントは起きなかっただろう。
ただ、勝利を目の前にしたチームやドライバーは責められない。
レギュレーションの範囲で、最大限闘った結果なのだから。

タイヤトラブルを抱えたのは、ライコネンだけではない。
マッサもトレッド剥離で、フロントウイングにダメージを負った。
これは、ニュルのような、アンジュレーションのあるコースでのブレーキングが、
とりわけフロントタイヤへ大きな負担を強いるからだ。

ちなみに、僕が現役のころ、サスペンションは鉄だったが、
それでも振動が激しくなると、ピットに呼び戻されてタイヤ交換をした。
当時は、給油と同時にタイヤ交換が許されていたからだ。
そして、それがレースの安全のためには常識だった。

話がいきなり大局的だが、94年のイモラでの一件以来、
FIAはF1の安全対策を推し進めてきた。
それはそれなりに効果をあげ、最近ではクラッシュがドライバーの
生命を奪ったり大きな怪我になるケースが減少した。その成果は大きい。
しかし、今季について言えばどうだろうか?(昨季もだが)
1レース1タイヤというレギュレーションは、
ショーアップという点では、終盤まで目が離せないレースを生み出したが、
結果的にFIAの思うようなスピードダウンは実現できていない。

今回の件は、F1がエンターテイメント性と安全性、
そしてスポーツ性をバランスするための過渡期で起きたことだと思っている。
FIAも、何らかのアクションを起こすことだろう。

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ところで、ミハエルの引退を揶揄する声や報道がされているが、
実際のところミハエルのモチベーションは相変わらずだ。
前戦のモナコでは物議をかもし出したが、最後まで1ポイント
でも多くもぎ取ろうとするレース運びが、それを物語っている。
また、今回は違ったが、スペイン、モナコと連続のファステスト
を記録して、速さも衰えていない。
まだまだ、ミハエルはレースを楽しんでいるし、
今シーズンも上昇してくるだろう。

あと、トヨタ残念。チャンスはまた来るはず。
そして、BARはあせらず頑張って欲しい。